ABOUT US

1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2011年12月26日月曜日

女が壊れるとき:「シークレット・サンシャイン」(原題:밀양 ミリャン) サカモト




今年夏に、韓国の劇団コリペ、代表イ・ユンテクさんが主催する、蜜陽(ミリャン)フェスィバルに「女中たち」の公演で参加した。その時にユンテクさんに、シークレット・サンシャインという映画は、この蜜陽(ミリャン)を舞台にしているんだよと言われた。ユンテクさんの家でその映画も垣間見たのだが、日本に帰ったら見ようと思いつつそのままだった。

季節は既に冬に突入し、ビデオ屋で探している映画が見当たらずいると、シークレット・サンシャインのタイトルが目に飛び込んできた。思わず手にとり、すぐさま家で見た。ミリャンの駅が何度も写り、ああ、あそこから電車に乗りソウルへ行ったななど、懐かしい気持ちになった。最初は地味な映画なのかな~と思っていたが自然に惹きこまれていった。

女が主人公である。女が壊れていく機微を丁寧に描いてる。そしてまかり間違えば、いつか自分もそうして壊れていってしまうかもしれないという危うい気持ちが彷彿してくる。昔は自分は絶対そうはならないと思っていたが、今はもしかすれば人であるなら女であるなら、そのような可能性が自分にもあるのかもしれないと思う。主演女優をしっかり支えているソン・ガンホ。そして劇団コリペ出身の俳優の方も出演していて、より映画が迫ってきた。


そして22日、テアトルエコーの舞台、オーディオドラマ「十三なつ」(作:岡本蛍、演出:永井寛孝)を恵比寿で観て来た。2作あり、最初の「能いあがり」がとてもよかった。およしを演じた太田淑子さんの言葉の清らかさ、可愛らしさ、一途さが胸を切なくさせる。聞けば「ひみつのあっこちゃん」の声もやられていた方で、現在75才。しゃんとしていて、プロの凄みを感じさせる。やはり舞台はいいものを見ると、想像力がどこまでも羽を広げなんとも豊かな気持ちにしてくれる。


映画も舞台も主演を張れる女優はやはりいい。年の終わりにいい女優が見れてよかった。そしていい女優を見ると元気がでる。私も一歩でも近づきたい。年内、私からのブログ更新は今日が最後です。来年、新しい年に祈りをこめて。こめてこめて。またお会いしましょう!


今年最後はこの曲で!! 安全地帯 真夜中すぎの恋 

2011年12月18日日曜日

ふゆぞら。(ヨシムラ)

寒い。

色づく木々の葉をながめ、ぼんやりしている間に、街のイルミネーションが灯る。なにもなかったみたいに。なにも起こらなかったみたいに。いなくなった人も震災も忘れるわけはないけれど、時は流れていく。不安をごまかしている。収束はしない。

久々に三島由紀夫の戯曲を読み、流麗だけど簡潔、饒舌だけど単純な言葉に、よいものはよい、とむくむくイメージが膨らむ。絵画や音楽のように、感覚に直接訴える力があるのだ。尋常ではない感性と美への固執は、45歳で割腹自殺を図る狂気と紙一重なのだろうか。もはや大作家も年下である。

2001年1月、今世紀最初の舞台が三島由紀夫「近代能楽集 -班女-」で、われわれは「花子」と「実子」を演じた。花と実はそれぞれに、「私は待つ」「私は何も待たない」と言い、そうして日が暮れる。11年前と現在。心情の変化、重ねた歳月を感じつつ、さらに研ぎ澄まし、再び演じてみたく思う。

この週末は父の三回忌。忘れるわけはないけれど、少しずつ離れ遠くなってゆくのかもしれない。賑やかな法事の会食終え帰宅。手のひらをこすりあわせて温かな感覚を思い出し、目を閉じる。差し向かいに座り黙ってビールを飲む。久しぶりに。

2011年12月11日日曜日

ろうそく風呂(サカモト)



いただきもののアロマキャンドルが増え、ふと思いつきお風呂にたくさん並べ入ると、暗闇に白い湯煙がもうもうと照らし出され、幻想的な気分になる。普段、電気を点けているときには見えない煙がこんなに充満しているのかと、面白くてすっかりやみつきになってしまった。スイッチひとつで灯りを供給していたときには思いもよらず、はっとさせられる。

自分のこころが、急変した出来事についてゆけず、力を失いかけた夏の終わり、木村文洋さんの映画「へばの」を見た。そして今日で3回目、時間をおいて見た。その時は自分がセンチメンタルだったから心にフィットしたのか、確認したい気がしていたのだ。でもやはりよかった。やさしくて、沢山のことをやろうとせず、人がちゃんとそこにいる。

映画を見終わり、本郷三丁目から清澄白川に移動し、吉村さんと合流。この日の夜は、久しぶりに知り合いのソロダンスを見るためだ。けれど寒くて寒くて、ラーメンでもと店を伺って歩いているうち、森下方向に行きつき、懐かしい魚三酒場に出くわした。ここは安くて美味しくて、昔、稽古の帰りによく来た。ダンスを見る前ではあったけど、あったかい白子汁に熱燗をちびちびやりながら、からだを温め、来年のZORAの公演について話しあった。話せば出てくる。まだまだこれからだけど。

そしてダンスを見終え、家路に着く。誰もが頑張っている。でもそこからだと自分に言い聞かせる。今日一日に不思議に感謝。小さいところから始めた節電も、楽しみに変わってきた。今日もろうそく風呂に浸かり、寝よう。皆さんも、年内、どうぞ暖かくお過ごしください。

2011年12月4日日曜日

12月のこと(ヨシムラ)

December.

毎年この季節になるとZORA公演の稽古や準備で慌ただしく過ごしている。もう何年もそんなふうに年末を過ごしていた。一昨年の12月は例年よりさらに忙しく必死だった。『椅子』という手強い作品と必死で格闘していた。26日に公演が終わり、年が明けてすぐ父が亡くなった。 まさか死ぬとは思ってなくて、そのことが悔やまれる。

今年はZORAの公演はなし。充電、というより休んでいる。ときには休んで、またやるときはやる。人の存在や話に触発されたり、音楽や景色に耳や目をゆだねながら、そして日々労働しながら、ZORAを休んでいる。
 

服をたくさん捨てて、バイクを手放した。もっと軽くなりたい。いつでも旅立てるぐらいに。夜明け前の空は一瞬驚くほど青い。足音を消せば、銀杏の葉が落ちる音だけが聞こえる。

 職場近くの六義園。東京には小さな森があります、けっこう。

2011年11月27日日曜日

アリラン(サカモト)


時間ができたので、昼間、家の前の川沿いをぽかぽか陽気の中、散歩する。水面がきらきら光輝いている。鴨が川底の土の中に顔を突っ込んだり出したり、急に2本足で長立ちになり羽を震わせたり気持ちよさそうである。この日は白鷺も2羽。ところがどっこい、今日はあひるもいた。真っ白なおおきなあひる。どっから来たの?あひるって飛ぶの?この川を見ていると、いろいろなことを思いだす。

この街に引越してきた時のこと。長年勤務した保険会社を辞める決意をし、これからお金の工面をどうするか途方に暮れていたときのこと。ヘルパー1級の資格を取り病院勤務となるが、辛くてしょうがなかったこと。韓国へ行こうと決意したこと。仕事と芝居と2足の草鞋で走り続け、その時代のニーズにあった仕事をし、社会で働いてきた体験は私を鍛えさせてくれた。

未知のものに足を踏み出すことは、自分が行きたい未来の絵柄がまだ存在していないので、不安ながらも、私はすでにその域に到達しているんだと何度も言い聞かせる。前送り、先送り。やがてその不安も忘れ、ことに没頭しはじめると、不思議に未来だったはずのものが現実となって現れはじめる。誰も自分の保証人にはなってはくれないから、この川が、あんなこともあったねと、なんだか保証人のように見守ってくれている気がするのだ。

地デジ騒ぎの締め切り時に韓国にいたので、また帰国してからも、すぐに公演に追われテレビを見る時間もなく、チューナーは買ってあったのだけれど、封も開けずそのまま置き去り。おかげで、テレビを見なくなってしまった。最初は寂しかったのだが、次第に慣れ、部屋にいるときは音楽だけ聴いている。一昨日は、アルゼンチンタンゴ。昨日は、ちあきなおみ。今日は韓国ベストヒットソング。アリランの穏やかな三拍子が、心にやさしい。

2011年11月18日金曜日

ありがとうございました!

かもねぎショット『スキマに立つ』
公演は、無事終了致しました。
撮影:伊藤 雅章


スズナリに足を運んでくださった皆さま、協力、応援してくださった方々、共演者、スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。


2011年11月13日日曜日

『スキマに立つ』14日まで!

かもねぎショット公演『スキマに立つ』
いよいよあとワンステージ!
明日 14日(月曜日)14時の回を残すのみとなりました。


出会ったばかりの職場のお友達や、懐かしい仲間たち、いつも応援してくださる方、様々なお客様に足をお運びいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。8公演のうち7公演を終えましたが、演出家、扇田さんの「もっとおもしろくなる」の一声に、本番前の役者たちは気を引き締め、スタッフはアイデアを出し合い、最後の最後まで、あきらめずに作品を大きく育てています。明日、まだスキマ(空席)ございます。まだ間に合います!!ぜひ、スズナリへ、観にいらしてくださいませ。


2011年11月5日土曜日

9日水曜、初日です!(ヨシムラ)

かもねぎショット公演『スキマに立つ』
いよいよ9日水曜日より始まります!


出演する女たちです。笑う女、食べる女、はさまる女、いろんな女が出てきます。稽古場の女たちもよく笑いよく食べます。にぎやかです。サカモトは、ZORAとも、今までのどの役とも違う役柄で、意外な一面が見られそうです。私も謎の役に挑んでいますが、のびのびとやれたら、と思っております。いろんな人間がいることが愛おしく思える作品です。あっと驚く美術と仕掛け、演劇ならではのアイデアにあふれる舞台になりそうです。

今年はZORAの公演がありません。こちらは無理せず、機が訪れたときにまた、力一杯に。

震災や不況、逆境に立たされた一年でしたが、下北沢スズナリの舞台にまた立てるよろこびと、みなさまとの出会える期待にわくわくとしております。よい初日を迎えるために、もうひとふんばり!どうぞ、足をお運びくださいませ。

2011年10月30日日曜日

東京国際映画祭「ひかりのおと」(サカモト)


本番までの最後の休みの日に、まだ台詞も満足に喋れていないのに、そして睡眠時間2時間を押して六本木まで足を運びました。現在、六本木ヒルズを中心に東京国際映画祭 が開催されています。夏の「女中たち」の公演の際、劇団第三エロチカ時代の後輩高崎君が、映画監督の木村文洋さんを連れて観に来てくれました。それから木村さんのへばの という作品に心奪われ、プロデュサーの桑原さんともお会いすることができました。


今回、見て来ましたひかりのおとでは、監督山崎樹一郎さん、木村さんは監督補、そしてプロデュサーはやはり桑原さんであるこの作品。東京では2日間しかやらないということです。この日は、上演後Q&Aもあり、山崎監督のトークも聞くことができました。「ひかりのおと」は光合成をしているときの音、と言った監督の言葉が心に残りました。木村さん、山崎さん、桑原さんの真摯なやりたいことを貫く姿勢がとても清々しく、またそのことが作品に投影され、これからもこの二人の監督のフアンになりそうです。私はずっと舞台をやってきましたが、映画というジャンルに興味が沸きはじめている自分を感じています。多分、映画にこんなに興味が出てきたのは、生まれてはじめてではないかと思います。


そして私は本番近し。「スキマに立つ」こちらの稽古・・・。


女が多いなか、紅一点でなく黒一点ではなく黒三点。演出の扇田拓也さん(写真上)、そして二人の男役者(右、小高仁。左、園田シンジ。)もいい味を出しています。冬になる前のひととき、この作品で笑ってください。今回、私が演じる役にも、雪にまつわるお話があります。短いシーンではありますが、いいシ-ンです。私ももうひとふん張り、どうぞお楽しみに。

2011年10月24日月曜日

ガソリン満タン。(ヨシムラ)

ねんねん、
とりまく状況は厳しくなり、我が身はひからびてゆくけれど、こころねは、しっかりと持っていこうと決意して、気合い入れて、布団から這い出る。まだ明けきらぬ街、重い鞄を抱えて出発する。今日も行くのだ。

さて、
前回、かもねぎショットの栗ちゃんの手料理の話がありましたが、今日も野菜たっぷりおいしい手料理が並び、休憩中の役者たちのお腹と心を満たしてくれます。

こちらが栗ちゃん。今回はスキマの住人を演じます。劇中にもおいしい場面が!?


こちらはベルリン帰りの娘を演じる石川南海子さん、野菜嫌いと言いながらおいしそうに食べてます。


もちろん食べているだけではなくお稽古も着々と進んでおります!!

2011年10月16日日曜日

どんちゃん騒ぎ(サカモト)


稽古場は笑いに満ち、みなそれぞれの個性を醸し出しています。さまざまな人間がいるということが、とても可笑しいです。かもねぎショット公演「スキマに立つ」。女性三人の細腕で踏ん張っているこの集団、新演出家の調理の中で、新たな進化を遂げられるのではないかと思います。私も微力ながら片腕になれればと思います。

稽古場にはいつも、栗ちゃん(かもねぎショットメンバー、栗栖千尋さん)の手料理があり、休憩になるとついつい手が出てしまいます。栗ちゃんは、仲間で経営しているお店でも調理しており、これからもどんどん腕を上げていくことでしょう。ちなみにさつまいもをオレンジジュースで煮てオリゴ糖をかけたお芋は、柑橘系の酸味も兼ね備え、とても美味。また甘い梅を生姜で煮てきてくれたり・・・。クエン酸と甘さが疲れを吹き飛ばしてくれます。手料理に勝るものなし。稽古が始まるとコンビニ漬けになってしまう胃袋が感謝しています!

           写真は、韓国チーム「女中たち」ポスター
話は変わって、今年前半韓国に赴き、夏には密陽夏公演芸術祝祭に参加してきました。その様子を、俳優でもありさまざまな演劇の局面で精力的に活動をしている金世一(キム・セイル)さんが、ワンダーランドというマガジンに掲載してくれています。興味のある方は、どうぞ覗いてみてください!

2011年10月10日月曜日

公演案内『スキマに立つ』

サカモト・ヨシムラは、
11月「かもねぎショット」公演に出演します!
@下北沢ザ・スズナリ
  
作:高見亮子 演出:扇田拓也

11月  9日(水)    / 19:00
11月10日(木)    / 19:00
11月11日(金)  14:00 / 19:00
11月12日(土)  14:00 / 19:00
11月13日(日)  14:00
11月14日(月)  14:00

*チケット 前売り3,500円 当日4,000円  全席指定席
*ペアチケット(2枚1組)6,500円

備考欄に「ZORAページを見た!」
または「坂本・吉村扱い」とお書きください。 

************

カーテンのスキマから覗いた秘密。ビルとビルのスキマから見えた花火。心のスキマに入り込む罠。身近なスキマに体をすべりこませた男と女。ぬけなくなっても知りません。お客さまともども狭くて広いスキマの世界へ。高見ワールド全開の本と有象無象11人の役者を扇田さんがきりりと引き締めています。ぜひスキマに挟まりにお越し下さい!!

本番に向けて、稽古場の様子、出演者の紹介もして参ります♪

2011年10月3日月曜日

突き破れ(サカモト)



恩讐の彼方にありがとう、ありがとう。」ある会見で、この言葉がテレビから流れだしたきとき、私は鳥肌がたつような思いに駆られました。心に電流が流れたのは、その方の波動の強さも勿論だけれど、この言葉の深い意味、ひだ、日本語の美しさ。言葉ならではのなせる技でこのような言葉が口から発せられることも、現代ではめぐり合えない。私が能に惹かれた理由も、現代では、日常使用されない言葉。密度の深さ、流れ、韻を踏む繰り返しが、心に突き刺さってきたからです。

ところで連日のどんちゃん騒ぎで、部屋は散らかり放題。9月はスイッチする季節。深夜までのカラオケで、中島みゆきさんの「宙船」には勇気づけられました。言葉が旋律に乗って、歌となり、戦う気持ちを後押ししてくれる。天高く馬肥ゆる秋。この言葉の由来も、昔は単純に、秋の清々しい空と食べものが美味しい秋を思っていました。が・・・。


小さな憎しみも小さな愛も、吸い上げられてしまいそうな空に向かって、私ももう一歩、乗り出します。10月は新しい役に挑戦。そして11月、下北沢「スズナリ」で皆様とお会いできましたら。これから、かもねぎショット公演(11/914)のDMを送らせていただきます。どうぞ、お楽しみに!

2011年9月26日月曜日

東京台風(ヨシムラ)


休憩室のテレビで「竜巻警報」と伝えている。「へえ、東京で竜巻ね」と思って、テレビの後ろの窓に目を移すと、まさに竜巻が起こっていて、木片や、骨から離れてビニールだけになった傘が、くるくると宙を舞っていた。雨粒もまわってなんだかすごい模様をつくっている。しばし見とれながら、子供の頃の台風の前のざわざわとした気持ちや、停電に備えてろうそくの火でご飯を食べる予行演習を家族でしたことなど思い出していた。

仕事を終え、決意して嵐に身を投じ、洗濯機から出てきた人みたいになりながら駅にたどり着くと、時おそし、全ての電車が止まっている。帰宅難民。まさにそんな感じの群れが構内にあふれている。どうしても帰らなければならない家があるわけでもないが、帰れないとなると、ぜひ帰りたくなる。不思議だ。唯一動いていた大江戸線で森下まで行き、懐かしい店でハンバーグを食べていたら、「電車が動き出しました」と知らない人が教えてくれた。

東京。台風で荒れた街も、疲れきった人々も愛おしく。


台風のあと、終わらないと思ってた夏の終わり。 秋の始まりまでの、スキマ。
「スキマに立つ」お稽古は快調に和やかに進行中!
近々、公演案内をお届けいたします♪

かもねぎショットのページはこちら。



2011年9月18日日曜日

お座敷小唄(サカモト)


~富士の高嶺に降る雪も、京都先斗町に降る雪も、雪に変わりがないじゃなし。とけて流れりゃ皆おなじ~お座敷小唄♪この歌が耳から離れなくなってしまった。歌詞といい曲といい、このカラっとした明るさが、すごくいい。

9月にはいって、ようやく時間をゆっくり使えるようになりました。仲のいいともだち、お世話になった方と話す時間がある。心境の変化、環境の変化を聞く。誰の人生にも流れがあって、久しぶりに会うと、心のひだがあの時からこうして重なりつつ、その人の現在が、今あるのだなあと思う。

公演の感想を聞く。聞いているうち、その人のものの考え方が伝わってくる。昔は人と話すことがとても苦手であって、公演も終わったらおしまいのままだった。でも今は、話したいと思う人とは時間をつくり話すうち、また新たな発見や、距離をもって終わった公演をみつめることもできて、こんな時間は大切だなあとつくづく思います。夜、ひとり部屋にいると、虫の響きに囲まれながら、やはり聞きたいのは人の声だったりして。9月、これからの後半も出会った方と語らいながら、ゆっくり秋風に吹かれていたいです。

そして10月はいよいよ、かもねぎショット公演の稽古に邁進です。

2011年9月11日日曜日

Agotaへ(ヨシムラ)

お久しぶりです!
たぶん昨年末以来、稽古場で顔を合わせたZORAのふたりです。


あれからそれぞれの場所で生きて、この夏、揃ってひとつずつ年も重ねて・・・ わたしたち元気です!

昨年末の芝居「ジョンとジョー」 の作者、アゴタ・クリストフが7月27日、移住先のスイス・ヌーシャテルの自宅で亡くなりました。ZORAも12年になりますが、結成の頃から折にふれアゴタ・クリストフの戯曲をめくり、その台詞、世界観、彼女の生き方に共感し、触発され、私たちの作品づくりに根底からじわじわと影響を与え続けてきました。「いつかスイスで公演をする」「アゴタ・クリストフに会う」という私たちの夢がありましたが、ひとつは叶わないものとなりました。ZORAは、次回作にアゴタ・クリストフ「伝染病」を上演するつもりでおりました。この作品は震災後の地、放射能にさらされた国で、また新たな意味を持って語りかけるのではないかと思っています。公演時期は未定ですが、いつか。いつか作品にします。

「まず、当たり前のことだが、ものを書かなければならない。それから、ものを書き続けていかなければならない。たとえ、自分の書いたものに興味を持ってくれる人が一人もいなくても。たとえ、自分の書いたものに興味を持ってくれる人などこの先一人も現れないだろうという気がしても。たとえ、書き上げた原稿が引き出しの中にたまるばかりで、別の原稿を書いているうちに前の原稿のことを忘れてしまうというふうであっても」
アゴタ・クリストフ『文盲』より

******

さて。
今日は、11月に上演する、かもねぎショット「スキマに立つ」の稽古初日です。わたしは本当に久々の芝居の現場で、緊張のため一番乗りしてしましたが、懐かしい稽古場と、気ごころの知れた人たち、そして強烈におもしろい刺激的な人たちのなかで、ゆるやかに助走して、かろやかに跳びたいと思っております。
詳細はまた。じょじょに。
 

2011年9月3日土曜日

September :天からの声(サカモト)

                      李潤澤さん演出風景 
         
「女中たち」の終盤、ソランジュの長台詞がある。私が演じるクレールは、姉ソランジュに殺され床に横たわっている。再び起きあがるまで、長い時間がある。お客さんに背を向けているので、うっすら目を開ける。その時、暗闇の舞台に差し込む、青い照明の細い光の筋が、目に飛び込んできた。ああ、と私は横たわりながらも崩れ落ちそうな気持ちになった。ジャン・ジュネの生きていた空間、時代、悲しみ、力強さが、スーっと脳をよぎり、私を満たしたのだ。

これに似た体験を、やはり能「隅田川」のシテ母親をやったときにもあった。面をつけ、一足進むにもよく見えない中で、やっと全ての台詞が終わり、最後に正面を切った時に私の内面の声が自然に溢れ出したのだ。「ヒデオ先生ありがとうございました。」その時は既に他界されていた恩師である観世栄夫さんへの思いだった。

李潤澤さんも、観世さんも、本当に一生懸命に教えてくれる。李潤澤さんは、既に自分が死んだ時のことを視野に入れ発言する。観世さんはいつまでも生きていたい人だった。こんな熱い演劇への魂を持った演出家に出会えて、私はとても幸せだと思う。今年前半は、「女中たち」1本に力を注ぎ、韓国に赴きいい体験でした。さみしいけれど、これで一区切りです。

      タイニイアリス 8/24~28「女中たち」舞台


疲れから開放されぬうち、仲間うちからは公演を終え23日も経つと、厳しいご意見が相次ぎ、なるほど、さすがこれまで一緒にやってきただけのことはある、その意見に頷いてしまいます。けれど初めてお会いした方から暖かい声もいただき、その瞳にも感謝しています。もっと長い公演であれば、修正しながらもより厚いものになる可能性もあるのになあなどと、まだまだ欲張り心満載です。

          夏から秋へ咲き続ける百日草

そして9月になりました。怒涛の如く終えた8月に幕をひき、カレンダーのページを一枚捲りました。これから来ていただいた皆さんに少しづつですが、お礼のお手紙を書きつつ、次の公演の準備に入ります。本当に来てくださった皆様、ありがとうございます。これからも精進し、皆さんに何かを感じていただける公演をできればと思っています。鈴虫の音色に空気も澄み、季節も少しづつ移ろいを増していくことでしょう。スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、どうぞ皆さんにとって健やかな日々でありますようにと願っています。                                坂本容志枝

2011年8月28日日曜日

夏の夜の女中たち(ヨシムラ)

水曜日。女中たち観劇。


蒸し暑い夜、小さな劇場に客は充満し、舞台はさらに充満している。欧風の調度、彩色の着物とハイヒール、毒々しい偽花。ジュネの戯曲も、演出も演技も、過剰な戦いを挑んでいる。となりの客と肌が密着する状況で1時間45分。挑まれた戦いから目をそらすことはできない。フランスと韓国と日本を調和させることなく、すべてを食べ尽くしてしまうような演出。この女中たちに退廃の空気はなく、図太いまでの生命力を感じた。

サカモトを見る目は多少身内な感覚も混じり、細かい所が気になってしまうが、上気した皮膚は美しく、この半年で三度、渡韓しどっぷりと作品に浸かり作り上げてきた成果を見た。挑戦と経験はかけがえのないものであろう。
・・・

金曜日は豪雨。激しい雨音の中に身を置きながら、夏の終わりを実感する。今年の夏、アゴタ・クリストフが亡くなった。

2011年8月14日日曜日

残すところ27日韓日チーム!「女中たち」日本見参!!(サカモト)

演出家、イ・ユンテクさんも21日来日。赤坂で歓迎会、関係者一同で乾杯。そして24日、初日があきました!どうぞ是非、いらしてください!!



                             韓日チーム「女中たち」 久保庭   坂本

※写真は、コチャン演劇祭「女中たち」での舞台写真です。

私達、韓日チーム。韓日チームは、私と久保庭さん(写真左)、べ・ミヒャンさん(写真右)とで、タックルを組み、この作品に邁進していきます!

         

タイニイアリス&演戯団コリペ(釜山)共同制作
蜜陽(ミリャン)夏の演劇祭参加作品
日韓競演:ジャン・ジュネ「LES BONNES−女中たち」

☆日程
8/24(水)19:00〜 韓日ヴァージョン
8/25(木)14:00〜 韓日ヴァージョン&19:00〜日本ヴァージョン
8/26(金)14:00〜 日本ヴァージョン&19:00〜韓国ヴァージョン
8/27(土)14:00〜 韓日ヴァージョン&19:00〜韓国ヴァージョン
8/28(日)15:00〜 日本ヴァージョン

☆料金=前売3000円 当日3500円 
☆演出=李潤澤
☆出演=韓国チーム:キム・ソヒ、ファンヘリム、ベ・ボラム
MIXチーム:ぺ・ミーヒャン、久保庭尚子、坂本容志枝
日本チーム:日下範子、荒川貴代、岩崎聡子
☆スタッフ=チョ・インゴン(照明)、キム・ヒョンス(舞台)


チケットのお申し込みはこちらからどうぞ! 
女中たちチケット予約フォーム 


                              お待ちしていま~す 坂本

2011年8月8日月曜日

山田晃士&流浪の朝謡(ヨシムラ)

あなたが撒いた種に
私の涙が
染み込む程に深く根を張り
がんじがらめにさせる
     「ジゴロとベラミー」  山田晃士

金曜日の夜、山田晃士&流浪の朝謡「激情スウィング2011千秋楽公演」へ行ってきました!昨年末「Maison de Fuji」で共演させていただいて以来、「山田さん」と心の中で呼んで、勝手に親しんでおりましたが、ステージに現れた「山田晃士」は、歌声、身のこなし、そして眼差し、近寄りがたいスターの光を放っています。

「全部飲み干して差し上げましょう」という言葉に甘え、毛穴開きっぱなしで汗やらいろいろ放出して、陶酔の時間を過ごしました。泥臭さと洗練、 なにかを超えたような迫力と詩人のような儚さ、圧倒され魅了され、そしてときどき大笑い。

蒸し暑い吉祥寺の街に紛れてからも、低音ベースの耳鳴りと「共にがんばりましょう」の言葉を反芻させながら、いつまでも幸せな気分に浸っていました。

2011年8月1日月曜日

密陽(ミリャン)フェスティバル(サカモト)

韓国に来て2週間。7月27日〜8月7日に開催されてます、密陽フェスティバルに参加しています。密陽は山に囲まれ蓮の花に覆われ、とても美しいところです。昨日、自分達の公演が終了しました。42作品もが参加し、オープニングの日は野外劇場で、頭上に何十発の花火が打ち上げられ、観客は歓声を上げました。今日は小休止。近くの麺屋で食事。午後から2本の芝居を観劇します。これから8月3、4日と、コチャンで公演し帰国します〜。


写真は、共演者のミヒャンさん、通訳のキム・セイルさん、セイルさんはNHK「江」にも役者として出演なさっています。

2011年7月24日日曜日

サマータイム(ヨシムラ)

大地は変動し、体温は上昇する。

突然の解雇から就活を経て得た職は、朝が早く土日出勤。この条件は妥協と思われたが、まわりはじめてみれば、意外な発見。早起きは気持ちがよく、平日の休みは、美術館もお店も空いていてゆったりと快適。何年かぶりで運動靴を買った。どこまでも歩いていけそうな気がする。

休日の昼下がり、カフェのテラス席でお茶を飲んでいたら、親しげに雀が近づいてきた。目が合い、はっと思った瞬間、頭の上に雀がとまった。ぎゃあと叫んで小躍りすると、むこうも驚きどこかへ飛んでいった。後から来た友人に話すと、その雀は私の父か母ではないか、と言う。様子を見に来たのではないか、と。たしかに母は酉年だが、雀の顔は父に似ていた。

2011年7月17日日曜日

暑中お見舞い申し上げます!


夏本番!
猛暑、酷暑が続いておりますが、太陽こそエネルギーの源。疲弊日本に喝!サカモトは明日から韓国へ!!ヨシムラは…!?それぞれの夏、満喫します。 皆様もお体に気をつけて。健やかにお過ごしください。

目覚めたら、ナデシコ快挙!まぶしい笑顔で幸先いいぞ。

2011年7月9日土曜日

「女中たち」受付開始!!(サカモト)



「女中たち」チラシです。写真は韓国チームです。

蒸し暑い毎日ですね。お元気でいらっしゃいますか。
私は元気で過ごしています。2010年秋、韓国の演出家イ・ユンテクさんと出会い、今年になって2度渡韓。そして釜山、金海(キメ)で公演をしてきました。

私にとって近いようで遠い存在だったアジア、韓国。文化の違いに驚きながらも、刺激的な日々でした。半年間この作品に向き合いながら過ごし、来週から再び韓国へ赴き、夏の演劇祭に出演し、来月8月にいよいよ日本で上演いたします。チームは三つに分かれ、韓国、韓日(日本二人、韓国一人)、日本。私は、韓日チームとなります。お得なリピート割引券1000円もあります!韓国の演出家イ・ユンテクのもとで演劇活動中の日本人グループブログモズ企画 

この作品を、ひとりでも多くの方に見ていただけるなら、大変しあわせです。新しい出会いから、これまでにない作品になることと思います。暑い最中ではございますが、どうぞ劇場に足を運んでいただけたらと思っております。
 
ジャン・ジュネ作 李潤澤演出 『女中たち』
8/24 水 19時 韓日Ver
8/25 木 14時 韓日Ver :19時 日本Ver 
8/26 金 14時 日本Ver :19時 韓国Ver
8/27 土 14時 韓日Ver :19時 韓国Ver
8/28 日 15時 日本Ver

日本バー
ジョン、韓日バージョンは日本語上演。
韓国バージョンは韓国語での上演となります。
新宿タイニィアリス(丸の内線新宿三丁目徒歩3分)
前売券3000円 当日券3500円 リピート割引券1000円

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左側、キム・スヒさん。韓国バージョン(韓国語上演)に出演。
現在、演戯団コリペ代表。韓国演劇界で、「リアリズムの権化」と呼ばれる。

右側、ペ・ミヒャンさん。韓日合同バージョンに出演。演戯団コリペ創立メンバーのお一人。新宿梁山泊、劇団1980など、日本の劇団で10年くらい活動。日本語が堪能。日本人俳優とともに、日本語で演じます。

2011年7月3日日曜日

稽古場の床(ヨシムラ)

地震といろいろで身にかかる変化もあり、気がつけば七月。今年も半分過ぎた。演劇から離れて半年。さすがに体がさびついてきた。


さて土曜日、タイミングよく演劇のワークショップのお誘いがあり、見学のようなつもりで出かけた。ロシア人のベラ・レーヌが考案した演劇メソッドを学ぶ「ベラ・システム」の会。特別な講師をたてず、勉強会のようなかたちなのだが、見回せば、舞台でお見かけする役者さんや大先輩などそうそうたる顔ぶれ。この日は、与えられた人物像を瞬時に想像、創造し、台詞を用いず体現する訓練をした。「役作り」の楽しさ難しさ、研究と直感、自分に欠けているもの、永遠の課題を改めて考える機会となった。

そしてそれよりなにより、開け放った窓から流れてくる風、久々に触れる稽古場のひんやりと冷たい床の感触がなんとも気持ちよく、大の字になり、体を思いきり伸ばした。役がもらえなくてずっと膝を抱えていたときも、出番に備えて緊張していたときも、稽古場の床はわたしのお尻を押してくれた。この感触をずっと味わっていたい。


演劇は仕事でも趣味でもなくて、いつもあるものだけれど、油断をするとどこかへ行ってしまうかもしれない。

2011年6月26日日曜日

静岡県舞台芸術センター:ふじのくに⇔せかい演劇祭2011 野外「天守物語」(サカモト)

 
左からSPACで活動する仲谷さん、私、美加里さん、久保庭さん
         
川崎インターから高速に入る。同行者は唐組の藤井由紀さん、SPACで長く活動していた久保庭尚子さん。今回運転も勤めるパワフルウーマン久保庭さんが、この夏、「女中たち」で、私の相手役の方だ。女、三人。演出:宮城聰、作:泉鏡花「天守物語」を観るために、静岡に向かう。 御殿場にさしかかる頃、ものすごい雨足になり、雨が、車を窓ガラスを叩きつけ、水しぶきで一瞬前方が見えなくなり、スリップしそうにもなり、もう怖いのなんのって。車中はヒィーヒィー。由比の海も曇天な雨空を反射し、真っ暗だ。今日の野外劇観劇は至難の業になるなと思っていると、次第に雨地帯をくぐり抜け、清水インターを降りる頃には、すっかり晴れあがった。ああ、お日様!ああ爽快!!


劇場に入ると、風が心地よい。これが野外劇の醍醐味だと思う。衣装が、髪が、風にさらされ、虫が照明の明かりにむらがる。花火が上がる。生音は木霊する。鬱蒼とした緑に囲まれたこの空間は、東京で見る野外劇とも質を変え、森林浴に満たされている。

芝居に関しては思うところが沢山あった。板の上にあがったならば虚の世界。私も虚の世界をもっと突きつめていかなくてはと思った。終演後は、BARカチカチ山でクナウカの阿部一徳さん、美加里さん、SPACの方と歓談。いいものを沢山いただいて、そして新しくめぐり合えた方たちに感謝し、とても幸せな一日でした。

                       
         クナウカ阿部一徳さん 美加里さん

2011年6月19日日曜日

雨日記 其の弐(ヨシムラ)

6/11
唐組「ひやりん児」 観劇。


「 ひやりん児」と書いて「ひやりんこ」 と読む。この響き、このセンス。夕暮れの 花園神社に赤テントが張られ「待ってました!」と唐十郎登場。しかも傍らに自分そっくりの娘を従えて。作品云々抜きにして新宿花園神社で唐さんの作品(新作)が上演され続けていることに感動する。巨大水槽に飛び込み、にやりと微笑む唐さんは、演劇に挑み続け、命をかけてふざけているように見える。この姿勢、わたし(えみねんこ)は好き。

6/15 
新しい仕事の研修初日。
苦戦、苦戦。経済の安定と、組み込まれることへの抵抗、生活と志の矛盾と闘いながら、ぎゅうぎゅうと頭に詰め込む。社会人として真摯に働くことは志す芸術の肥やしとなるのか、わからないけれど。いまやるべきことを。

6月某日
ぶらり岡本太郎美術館へ。
「太陽の塔」とひとつになり、昭和の底力をチャージ!

2011年6月11日土曜日

韓国から新宿二丁目へ、(サカモト)



この夏、新宿二丁目で暑くなります!
今年3月、そして再度4月に韓国で上演してきました「女中たち」を、7に韓国の蜜陽(ミリャン)フェスティバルで上演する運びとなり、8月には新宿二丁目、タイニイアリスで上演します。ゲイタウンと呼ばれるこの街で、憎い奴ジャン・ジュネの作品を上演するのも、何かの因果でしょうか。

女中たち」は、3つのグループに分かれ、韓日チーム、日本チーム、韓国チームとなります。私は韓日チームです。韓日というのは、日本人の役者二人と韓国の女優ベ・ミヒャンさんです。ベ・ミヒャンさんは日本でも、新宿梁山泊に出演するなど幅広く活動している方です。私が出演します日程が↓下記の3日間と限られていますので、是非来ていただければ、本当にうれしいです。 
 


8月「女中たち」 韓国の鬼才、
イ・ユンテク演出 
タイニイアリス 新宿区新宿2-13-6-B1

24日(水)      1900韓日
25日(木)1400韓日1900日本
26日(金)1400日本、1900韓国
27日(土)1400韓日1900韓国
28日(日)1500日本


今年になって、この作品のことだけを考えています。演劇といえども大量生産で終わっていくことも多いなか、このような時間を持てるしあわせを感じています。がんばります!

2011年6月6日月曜日

雨日記(ヨシムラ)

5/27 
梅雨入り。

6/1 
失職。日々の生活に穴があく。
経済の穴、心の穴。


就職をせずに芝居を志すと決めたときから芝居と生活の糧は別だった。20世紀はアルバイトをしながら芝居をやるということが困難ではなかったが、時代は移った。河原乞食は役者の代名詞だったが、世の中フリーター、ニート、ホームレス…言い換えているが、乞食の類が増えて見境がつかない。「下流」に安居する人々。どうにかなるのにしようとしない。自戒を込めて「上昇することをあきらめてはならぬ!」気合いだ!就活だ!

そしてせっかくの機会なので問うてみる。大切なこと。大切なひと。望むものは一瞬か、継続か。働く。演じる。少し許容範囲を広げてみたり、角度を変えて見れば新しい発想に出会う。働く。演じる。生きてゆく。愛する。先は長い、まだまだ。

暗闇の光明。節電の街に希望の灯が浮かび上がるようにと信じて。

2011年5月28日土曜日

切腹(サカモト)




「切腹」という映画を見た。深夜帰宅し、疲れて果ててはいたものの見たくてしょうがなかったのだ。おかげでその日は、血みどろの悪夢にうなされ目覚めた。

ひとつの白黒の絵葉書。それは切腹する直前の浪人の姿だった。役者は仲代達矢。その当時、短命に終わった鎌倉シネマワールドにデートに行き、彼氏が買い、その絵葉書がずっと私の家に残ってた。あれからもう既に、ものすごい時が流れているというのに、なぜか捨てられず、家の片隅にいた。

昭和37年の作品であるし、三国連太郎、丹波哲郎、岩下志麻ら大御所が出演。見た方もさぞ多いであろう。しかし、凄い。そして思った。人はいつから自分の言葉に責任を負わなくなったのだろう。この頃、たまにあれっと思うことがよくある、あなたあの時ああ言ってたよね…?でも忘れたふりをする。人を責めてはいけないというフィルターが、咄嗟に私を覆う。でも私はまだ認知症ではない。ちゃんと覚えている。

現代はスライド的に流れ、ひとつのことにこだわっている方が、鈍臭くみえるのかもしれない。そして思う、私だって欠点の塊だ、人のいいところだけをみよう。でもそれもなんだか違う気がしながら、自分は前へ進むしかないと結論する。死んだらおしまいじゃんと言わんばかりに、物事をスライドし続ける輩は、スライドが当然の如くになってしまい、何の決断もできなくなってしまうのかもしれない。死ぬことを覚悟で、乗り込む一匹狼、仲代達矢扮する一介の浪人は、しかと自分の言葉を喋る。女々しい影を一筋も残さず、凛としている。私もしっかりと、自分の言葉で喋る人間に近づきたいものだ。

2011年5月22日日曜日

どん底(ヨシムラ)

なんだかさえない日々である。

ここ数年は、両親を見送り離婚し自活しながら芝居も続け、穏やかだった暮らしが否応なく動きだし、のんびりと生きてきた人生の中では、割と必死な数年であったと思う。身辺は寂しくなったがきっぱりと一人で生きているような清々しさもあった。

昨年末の芝居を終えひとくぎりしたときは、次のことを考えていた。芝居を続けていく困難さは気合いとアイデアで乗り越えてきたし、いつもわたしたちのできる最良のことをめざしている。しかしときに途方もなく思えることもある。

震災の光景、そして小さな「なんだかうまくいかないこと」が、心身を脅かした。なにかことを起こそうとすると耳元に「トカトントン」が聞こえてくる。

先日サカモトと話した折、「やる気がでない」と口にしてしまったとき、言ったら本当になってしまう、言わなきゃよかったと思ったが、そんなときもある、と受け止めてくれた。叱咤激励されるよりも心強かった。

さて今日は重い腰をあげて…


THE・ガジラの『どん底』を観に行った。記憶にある「どん底」は暗い芝居だ。今この芝居はきついのではないかと覚悟して観た。2時間10分は確かにきつい。しかし魂が揺さぶられる作品になかなか出会えないなか、100年前のロシアでゴーリキーが吐き出すように書いた野太い言葉と、真摯な演出、そして出演者たちの覚悟に心が動いた。心の闇に沁みた。ドストエフスキー、チェーホフの言葉にもまた触れてみたくなった。

てなわけで外に出れば 人にも出会うし雨にも濡れる。
どん底にはまだはやい。