水曜日。女中たち観劇。
蒸し暑い夜、小さな劇場に客は充満し、舞台はさらに充満している。欧風の調度、彩色の着物とハイヒール、毒々しい偽花。ジュネの戯曲も、演出も演技も、過剰な戦いを挑んでいる。となりの客と肌が密着する状況で1時間45分。挑まれた戦いから目をそらすことはできない。フランスと韓国と日本を調和させることなく、すべてを食べ尽くしてしまうような演出。この女中たちに退廃の空気はなく、図太いまでの生命力を感じた。
サカモトを見る目は多少身内な感覚も混じり、細かい所が気になってしまうが、上気した皮膚は美しく、この半年で三度、渡韓しどっぷりと作品に浸かり作り上げてきた成果を見た。挑戦と経験はかけがえのないものであろう。
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金曜日は豪雨。激しい雨音の中に身を置きながら、夏の終わりを実感する。今年の夏、アゴタ・クリストフが亡くなった。