ABOUT US

1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2012年9月30日日曜日

秋やすみ〜フジタを巡る旅〜(ヨシムラ)

1986年 東京。
藤田嗣治の生誕100年を記念して「レオナール・フジタ展」が開かれ姉妹で観に行ったのがきっかけでフジタが好きになった。その後ふたりで作品展に訪れるたび、絵の横に貼られた「平野政吉美術館所蔵」の文字が気になった。調べると秋田県にある美術館らしい。「いつか平野政吉美術館へ行こう」と姉妹で約束した。あれから20数年。秋田への旅がついに実現した。

フジタ自画像

新幹線こまちで秋田へ向かう車窓は、黄金の稲穂が揺れる田園。のどかな東北の風景を眺めていると心が解けてゆくよう。秋田駅から徒歩で10分、ついに平野政吉美術館へたどり着く。

平野政吉は秋田の地主であったが、美術展でフジタに出会い、フジタとその作品に衝撃を受け、その後コレクターとなりパトロンを越えた交友を深めた。政吉は、収集したフジタ作品を展観するため美術館建設を計画、その美術館の壁画の依頼を受け制作したのが、大壁画「秋田の行事」である。あまりにも巨大で圧倒されるが、間近で見ると細部にフジタのユーモア、人々への眼差しが感じられるあたたかい作品であった。壁画を描き終えた頃、日本は戦争体制へ傾倒してゆき、美術館の開館は頓挫、ふたりの願いが叶うのはその後30年経ってからだったそうだ。

秋田の行事

しかし竿燈祭りも終わった町はどことなく物寂しく、翌日は駅の案内所で情報を仕入れ、ローカル線に乗って温泉へ行くことにする。日本海は荒波というイメージであったが、秋の海は静かに凪いでいて穏やか。秋空と美しい海を眺めながら入る露天風呂。極楽です。

両親を見送った今、唯一半世紀をともに生きて来た姉と、平和だった昭和の頃やいろいろあった平成を振り返り語り、郷土料理を堪能し地酒に酔い、すっかり心身リフレッシュの旅となりました。

道の駅 岩城からのぞむ日本海

2012年9月23日日曜日

潮時(サカモト)



潮の満ちる時、引く時。物事を始めたり終えたりするのに、適当な時期、好機ということでしょう。日本語の語感は、端的にその言葉が浮かびあがってくるときがあります。やはりこの島国で生まれ、育ち、四季折々の風の中で生きてきた由縁でしょう。

秋分の日、父の17回忌の為、お寺へ。般若信経を皆で唱え合掌。父はやさしい人だった。人の信頼を裏切らなかった。「彼岸」とは、煩悩に満ちた世界から解脱した悟りの世界、亡くなった先祖達の霊が住む世界。その祖先の霊を供養するために、私たちはお彼岸になると、お墓参りに行く。季節の変わり目、降らなかった雨が降り、何かが洗い流されていく。今日、お墓に供えた花々もずぶぬれになり、今頃は首を垂れていることでしょう。今日という秋分の日を境に、私の中でも何かがぬけ落ちたよう。

秋に公演が控えています。まだ準備もままならぬ中、既にチケットの予約もいただき、うれしいかぎりです。あと1ヶ月しかないのに、こんなんではいけません。少しづつ拍車をかけていきます。出演するモズ企画のブログが新しくなりましたので、どうぞご覧ください。またチラシも届きましたら、すぐに掲載しますね。
 
韓国新人劇作家シリーズ第一弾 
日本初上陸2作を含む3作品同時上演!! 

2012年 1031()114()  @タイニイアリス 

    10/31(水)11/1(木)11/2(金)11/3(土)11/4(日)
1400       ○     ○    ○     ○
1930  ○    ○     ○    ○

新人賞を受賞した韓国人劇作家が描く いま、この瞬間の韓国 そして家族
ジョン・ソジョン作/金世一翻訳・演出/『秋雨』
オ・セヒョク作/金世一翻訳/荒川貴代演出/パパのパパごっこ出演!
イ・ナニョン作/李知映翻訳/鈴木アツト演出/『一級品人間』


★下記のアドレスから、チケットを予約できます。その際には①メール②チケットフォームのどちらかで送信願います。その際には、坂本のチケットで、と一言添えてください。よろしくお願いします。
公演ブログ:モズ企画  http://mozukikaku.wordpress.com/ 

2012年9月16日日曜日

愛のむきだし(ヨシムラ)

大好きな人が突然死んでしまったような喪失感。そのくらい芝居に、役に寄り添ってきた日々であった。わたしたちの夏は終わったが、糸に絡めとられたまま身動きがとれない。娑婆の太陽は眩しすぎる。わたしには愛する人がいるだろうか、またはかつて愛した人が。どれほどのものだったろうか。失ったものは。むきだしの愛はいまや舞台の上にしかないのか。架空だ。妄想だ。虚無だ。どうかしてる。

宣誓。ZORAは女をやる。おばさんにはならない。たとえおじさんになったとしても。高い山に登る。切磋琢磨する。ときには喧嘩する。


公演から2週間経った日。
ZORA公演の精算とお疲れさま会を我が家で催したあと、バスに乗って浅草へ。ダンスを観に行ったアサヒアートスクエア前で。撮影:松原佐紀子。




この2週間で観たダンス公演。
メゾンドフジでご一緒した方々の公演が続々と。
その人が剥けて表れる瞬間が、醍醐味。

ダンスが見たい!14 出演:松原佐紀子
カトルカール 出演:高橋佳
カンパニーレゾナンス 出演:千葉真由美・公門美佳

観たDVD。
いい!


2012年9月8日土曜日

自己革命(サカモト)


          8/31~9/2 新宿サニーサイドシアター 「蜘蛛女のキス」
              バレンティン左、坂本 / モリーナ右、吉村

芝居がはねて1週間経つ頃、いつも変な気分に襲われます。1週間前には、あんなに一生懸命打ち込んでいた自分がいたはずだったのに今のざまは?そしてその1週間は、とてつもなく早く過ぎ去るのです。時間という観念は、決して平等ではない。

芝居に明かりと音は、相乗効果として大きな影響を及ぼしてきます。総合芸術である芝居は、いいスタッフ抜きでは考えられません。けれど、零細企業の私達にできる事は限られています。それでもスタッフの暖かさに見守られ、無事終えることができました。そして演出協力をして下さった扇田さん。これまでもお世話になっていましたが、今回ある確かな手ごたえを感じました。この確かさはセンス、感覚、という言葉にならぬ架け橋を与えてくれます。はじめて扇田さんの率いる劇団、ヒンドウー五千回の「メキシコの犬」を観た時の、自分の直感を信じて本当によかったと思います。

残り蚊がこの夏最後の血を吸い尽くそうと、私の肌を何箇所もつき刺し、その肌はアレルギー症状になり真っ赤に膨張し、かゆくて気が変になりそうです。脳裏には「蜘蛛女のキス」の台詞のいくつかがまだ渦巻いています。この残り蚊のように、この作品が私を吸い尽くすのならこれを再演する価値はあるかもしれません。


家の前の川沿いから流れてくる虫の声、風の音。何種類もの虫の音色が重なりあう。加工ではない音。芝居は加工ではなく、生であり続ける。

私が演じた政治活動家バレンティンは口では政治的な能書きを沢山垂れましたが、そんなことより、この男にとっての革命は断固とした男であるのにお漏らしをしてしまったり、男女間を越えた交わりを体験することによって、これまでにない彼の何かが崩れおちていったのではないかと思うのです。その人間にとっての目を開かれるような新しい体験、愛がより人を息づかせる何かを呼び起こす。人間は本当におもしろいです。

2012年9月3日月曜日

繊細に、敏感に。(ヨシムラ)

昨日9月2日
『蜘蛛女のキス』無事終了しました。

観に来てくださった方に感謝致します。
ありがとうございました。

原作に惚れ込み、戯曲と、相手役と、そして自分自身と格闘し、猛暑の日々を「蜘蛛女のキス」ととも駆け抜けました。挑みがいのある作品でしたが、まだまだ、行き着けないところだらけです。でも、手応えを感じています。

繊細に、敏感に。そして深く。

役者としての発見と課題は日々たくさんありました。ZORAとしても反省点は多々ありますが、これからに繋がる、いろいろな意味でステップアップとなる作品になったのではないかと思っています。

打ち上げ終え、外に出ると雨あがりの新宿2丁目に、涼しい風が吹いています。待ちこがれた秋が少し近づいているのかもせれません。いつのまにか。

来てくださった方、支えてくださっている方、惜しみなく協力してくださった方たちひとりひとりに、深く感謝いたします。ほんとうにありがとうございました。

写真、近々アップします!