ABOUT US

1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2016年3月28日月曜日

極楽(サカモト)


 渋谷のセルリンタワーで「極楽」という狂言を観ました。昨年7月の梅若能楽堂「草迷宮」の公演から久しぶりに能舞台との対面。中野の梅若能楽堂はほのぼのと緑の中に歴史があって、板にも愛着が湧いてくる舞台でした。お客様にはロビーでお茶が飲めるようになっており、そこで詰めているおばさま方が楽屋にもお茶を用意してくださいます。

そしてセルリンタワーは都心にそびえ立つ40階の高層ビル。以前訪れ夜景を見た記憶がありましたが今日で2回目。2001年に立ち、とても綺麗なモダンなビル。そこで働いているサラリーマン、ホテルの宿泊者、いる方は様々。その地下に能楽堂があります。入ると柔らかくあたたかな光に包まれ気持ちが落ちつきます。

今回は狂言だけを3本。最後に上演された「極楽」が面白かったです。
〈夫に先立たれた妻は、死後、極楽に赴くと、めでたく夫と再会し、幸せな日々を。
やがて平穏な、満ち足りた暮らしの中で・・・〉
菊池寛の短編を狂言化したもので、能舞台での上演は、今回が初。

現代的な要素を取り入れ、演者のご夫婦の方も落ち着いていて魅力的でした。狂言って、若いときよりなんだかいいなと思いました。小難しくなく、笑いを前提としていて・・・。能の重厚さ、壮大さ、幽玄な部分に惹かれていたのに、狂言はなんだかおかしい。能と狂言を合わせて「能楽」というとパンフレットに書かれており、なるほどと改めて思いました。昔、「安達が原」の狂言部分のアイをやりたいと観世榮夫さんに言うと、最初は「安達が原」のアイは男じゃないとと言われましたが承諾してくださり、野村万蔵さんに直に稽古していただき、今思うと贅沢な時間をいただいていたんだなあと思います。
※アイ:狂言方が,能の中の登場人物の一員として出る役。間狂言とも。前場・後場のつなぎに出るもの(語間(かたりあい))と,戯曲的進行に直接関係するもの(会釈間(あしらいあい)),独立した寸劇が挿入されるもの(替間(かえあい))とがある。

雷、雹。
少しづつ本当の春に。

2016年3月24日木曜日

10ケ月ぶり!舞台に立ちます‼(サカモト)





暖かくなってますね~
夜の隅田川、父のお墓参り、友の芝居観劇そんな日々の中、
なんだかだんだん元気になっていく自分を実感。そんな折、6月公演のチラシが届きました。
勢いのある嘴に、ああ私も飛び立たなければと思いました。どうぞよろしくお願いいたします‼



2016年3月14日月曜日

ホットウィスキー(サカモト)





今日も下北沢、昨夜は新宿で芝居を観た。新宿で観た芝居はずっと暗い照明で最初は疲れたのだが、知り合いの女優さんがこれまでとの役と違い、とても神秘的にみえ美しく声も魅力的だった。これが芝居の魔力だなあと思う。一人新宿の街を歩きながら、ああちょっとだけだけど抜けてきた感を感じる自分がいた。

翌日下北沢。ここ何年か一緒に芝居をした演出家と会う。たまたま入ったイタリアンバーで話が弾む。次の芝居のことでどうにかしなければと思う自分がいて、なんだか熱い。ああ、またちょっとだけ抜けてきたと思う。

寒く冷たい雨が降る。気分を変えて家に残っていたウィスキーでお湯割りをする。キュ-ンとアルコールがたちまち部屋に湯気を出しどんどん上昇していく。もうすぐ桜も咲く。

あまり芝居の宣伝をここ数ケ月できなかったけれど、これからは発信していきたいと思います。どうぞ、今後共、よろしくお願いいたします!

2016年3月7日月曜日

パンドラの箱(サカモト)






眠ってたものが刺激されたのでしょうねと歯科医の先生に言われる。なんせ歯が3本おかしい。2本沁みて1本腫れてしまった。3本となるとこれが放散痛というのか・・・よくわからない。薬を飲み沈静化するのを待つ。

ミノムシの雌になりたくなくてできるだけ芝居を観に外へ出かける。吉村さんとよく二人で行っていたが今はひとり。スケジュールを相談することなく勝手に出かける。芝居に対する情熱が昔と質が違うことを日々感じながら、面白いと喜び面白くないと腐り。

時間がない中、頑張って出かけるので面白いものを確実に観たいという欲望に拍車がかかる。最近は楽しみたいし笑いたい。エンターテインメントの幅の広さに救われる気がする。テレビも昔はバラエティー番組は全然見なかったのに、最近は思わず面白い会話に引きづられひとりで笑っている。

芝居が終わって今日も下北沢だし知り合いもいるし、いつもなら芝居話に花が咲き飲んで帰るとこだけれど、薬を飲んでいるのでアルコール禁止。おかげでノンアルコールの美味しいドイツビールを発見し肝臓にもいい。歯が痛くなったのは久しぶりにスポーツクラブで踊った翌日。外へ出たらものすごい冷たい風だった。ぼんやりしてたからだに熱さと寒さが走り抜ける。

予約外で緊急に診ていただいた歯科医の先生に感謝しつつ、診療台の椅子でぼーっと仰向けに天井を眺める。パンドラの箱じゃなくてパンドラの被せものだーと心の中で叫ぶ。麻酔し長年の被せものを機械音を響かせ次々と砕いていく。出血し、銀を、虫歯を削り、膿を出す。痛いけど、何かが動きしだしている。

「この箱だけは、決して開けてはならない」
と、言っておいたのですが、パンドラはこの美しい箱を見るなり、中にはきっと素晴らしい宝物が入っていると違いないと思いました。
 そこで夫に箱を開けて欲しいと頼みましたが、エピメテウスは兄との約束で、決して首を縦に振りません。
 するとパンドラは、
「あなたが箱を開けてくださらなければ、わたしは死んでしまいます」
と、言い出したのです。
 そこでエピメテウスは仕方なく、兄との約束を破って箱を開けてしまいました。
 そのとたん、箱の中からは病気、盗み、ねたみ、憎しみ、悪だくみなどのあらゆる悪が、人間の世界に飛び散ったのです。
 エピメテウスがあわててふたを閉めますと、中から弱々しい声がしました。
「わたしも、外へ出してください・・・」
「お前は、誰なの?」
 パンドラが尋ねると、
「わたしは、希望です」
と、中から声が返ってきました。
 実はプロメテウスが、もしもの為に箱に忍び込ませておいたのです。
 こうして人間たちは、たとえどんなひどい目にあっても、希望を持つ様になったのです。