金曜日の午後は10階の職場にいました。大きな震動に驚き、机の下にもぐるのがやっと。ばたばたと書類が落ちる音を聞きながらなすすべもありません。少し落ち着き、ヘルメットをかぶるとまた震動がきました。机の足にしがみつき、なにかを祈ろうと思うのですが、誰のために何を祈ったらいいのかわからなくなり、そこで少し冷静になりました。落ち着こう、と思いました。
小さなお子さんがいる方は本当に心配そうでした。妊婦の方もいました。皆で近くの公園に避難して、その後解散となり、幸い家が近い私は歩いて帰りました。そのときはまだ起こっていることの大きさを知りませんでした。
家はコップが割れ、本が散乱していました。余震に怯えながら片付けている間にも、テレビからは被害の大きさ、惨状を伝える報道がずっと流れています。家や車が津波にのみこまれてゆく映像は、現実のものとは思えず、何が起こっているのか、底知れぬ恐怖を感じました。
わたしたちは日々、小さな計画をたてたり予定を組んで、少し大きな目標やもう少し大きな夢に向かって生きています。先のことを楽しみにしたりそのためにがんばったりすること、そういうものが、根こそぎ奪われてしまうとしたら。被災された方の思いは計り知れません。
一夜明け、帰宅難民となっていた友人と連絡がつき、うちへ招き、交通機関が止まった東京の夜の話を聞きました。日常は、意外と脆く危ういものです。
かつて訪れた美しい東北の風景、人々を思い出します。
持てる力と知恵を集めて立ち向かうこと。かんたんではありませんが、できることを探し、行動を起こすことが大切なのだと思っています。