昔、吉村さんとZORAで稽古していた幡ヶ谷での会館に週間雑誌が棚にあり「うさぎとマツコの往復書簡」の連載を稽古が始まる前によく読んでいた。私が面白い面白いと言うと吉村さんは目も触れず全然興味がなかった。だからその面白さを私はそっと自分の胸に潜めていた。私は中村うさぎさんのことをあまり知らなかったのだが、その小気味のよさ、自分を客観視できる精神に参ってしまった。それに何しろ笑えた。
この世界に入ったのだって子供の頃からの世界に対するというか世の中にそぐわない違和感を感じ、表現という分野でしかこの思いは昇華できないと思っていた。でも芸術をやる人も年を経ると激しさも普通の大人になり、いい意味で社会との折り合いのつけ方も学び、知らずにその世界感を心に持ち続ける人は淘汰され少なくなるんだんなあと思う今日この頃である。これは否定でもなくそれが成長するということかもしれない。
私は成長できずにいる。一歩間違えたら私だってはみだしどうしようもなかったのだ。うさぎささんは「変人に告ぐ」と明言し、その歪みの客観生を自分で有していればその理性が足元を照らしてくれると。歪んでいない人間などいないと言う。
ところでアフリカに行く迄時間が押してきたのに全く準備ができていない。世界は戦闘態勢で怖いが私はとりあえず自分の準備をこつこつやっていこうと思う。桜も散り始め次は濃いつつじの出番が待っている。