ABOUT US

1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2012年3月11日日曜日

3月11日(ヨシムラ)


午後2時46分。
いつものように少し眠い時間だったと思う。江東区にあるビルで働いていた。一瞬の沈黙、予感があって、あとはただ揺れた。床に手を着き大地を押さえるような気持ちで耐えたが、振り落とされるのではないかと思う程の震動だった。近くの公園に避難し、歳の近い同僚たちは皆 家族へ、お子さんへ、連絡を取ろうとしていた。必死に。私も携帯を手に取ったが、真っ先に安否を確かめるべき家族を持たないことにそのとき気づいた。震災後、結婚する人が増えたというけど。そのときはさみしいというより、自分に家族がいないという現実を初めて実感した。

あれから一年経った。
状況は少し変わった。職場は地震の被害でしばらく封鎖となり、その後、我々は解雇となった。職探し、新しい仕事、そして芝居。そして既に体の底から感じた大地の振動も、ただなすすべもなく眺めた津波の映像も、原発の不気味さも、驚く程薄れていることに気づく。忘れている。被災地では現実との終わらない戦いが続いているというのに。

地震の後、なにもできない虚しさのなか、家にこもりなぜか南米の小説を読みふけっていた。そのときの思いを次の芝居につなげようと、今している。震災の後、震災を扱った芝居を数本観た。地震の前と後、作品が同じであるはずはない。作家や集団が芝居でできることを模索している姿は正しいのだろう。しかし安易と思われる取り上げ方もあり失望もあった。むずかしいものだと思う。

孤独であること。孤独を知るからこそ人に触れたいと思う気持ち。ものをつくることの自覚。など考える一年目の今日である。

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