昨年秋からの怒濤の日々を乗り越え、サカモトは休む間もなく、次なる戦場へ旅立っていった。「いってらっしゃい」と手を振り、父の一周忌を終え、古巣の劇団の解散も見届たら、ほんとうに、きっぱりと、ひとりになった。高架下に穴を掘り、布団を敷いて眠った。つけっぱなしのTVの、火山の噴火やサッカーやお相撲の八百長が、夢の映像にかぶさる。昭和の食卓、旅公演、かつて大切だった人、猫たち。
久々に地上に出ると、粉雪が舞っていた。これも夢かもしれない。
水道管が凍ってしまうほど寒い釜山で、熱く稽古に打ち込んでいるサカモトよ。フンバレ!わたしもじっくりとチカラとアイデアをため、穴の中で画策しています。今度会ったとき聞いてね。