ABOUT US

1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2012年4月29日日曜日

渇いた咽喉(サカモト)




頭上を鳥たちが行き来する。私は5階に住み最上階であるので、鳥たちが木々から電線から5階の屋根に着地するがため飛んでくるのである。普段なら窓から平行に見るだけの鳥たちを、一日、二日、三日と寝たきりの布団の中で上向きに鳥たちを見る。視点を変えれば見方が変わる。鳥たちが描くウェーブは、見事というほかない。

風邪をひきとても辛かった。朝目覚めると咽喉が焼けるように痛み、つばを飲み込むこともできない。熱が上昇する。三日目の朝ようやく熱が引き、そうしたら今度は鼻水と痰と咳のオンパレード。まるでデドックスしているように、からだの汚い水が放出されていく。

あたたかくなってきたというのに。


どこにも行けないのでからだを休めながら、テレビもつまんないし、埃のかぶったビデオラックから昔みた映画、1984年製作太陽の年 を見た。若いとき見て心惹かれたそれは、今も連綿と私の胸の中に息づいていていた。

布団という小空間の中でぐずぐずしていたら、ごちゃごちゃになっていた6月公演の役のイメージが少しづつですけど、輪郭がみえてきたかんじがしました。そして今年の予定もだんだん具体的な話に。暗闇の中に光が差してきたよう。本当に風邪なんてひいてられない。咽喉が台詞を求めている。ああ、いい骨休めをいただきました。



2012年4月23日月曜日

三浦海岸繁太郎と8人の女


6月、
わたしたちは、かもねぎショット公演、
三浦海岸繁太郎と8人の女
に出演します!!

三浦海岸繁太郎を愛した女、
三浦海岸繁太郎に愛された女、
三浦海岸繁太郎の遺言に引き寄せられ集まり群がる女たち。

次回かもねぎショット公演は、
三浦海岸繁太郎と8人の女
です。

現実の私たちは日々労働し稽古し、眠くてつらくて休みたくても休まず労働し稽古し、まじめに、元気に、起きて食べて移動して、集まって考えて話し合って、芝居を作っています。とことん。そんな私たちだからこそ生まれてくる作品もあるんです。

最後に笑うために。

詳細は徐々に♪♪

6月・8月
今年の夏は全力で駆け抜けます!!

2012年4月16日月曜日

口答え(サカモト)


2011.8 「女中たち」 クレール役: 坂本

生暖かい風に慣れない。強風ばかりに煽られていると、それが普通になり心の繊細な襞にも気づかなくなる。昔を思えば、小さい頃から口答えするなという教育が施され、そのおかげで従順な性格に見られつつもあったが、心の奥底ではちがうちがうと思っていた時間が長かった。最近、この齢になり人間の嫉妬とよくわからぬ呪いの恐怖に煽られ、夜中、大声を出し飛び起きてしまった。人間ほど恐いものはない。

叫んでしまいたい衝動、抑え切れない思いを何で発奮すればいいのか、そんなこんなで演劇の道に入ったのかもしれない。けれど問題は今も叫びたいという気持ちが消えないことである。意思というものは、どんなに醜くても粗野でも伝えなければ伝わらない。そこで闘争が始まるのである。

いい台本を求めるのは、いい台本でなければ狂いようがないからである。中途半端な本はそれなりの結果しか残らない。土台があれば、そこからはみ出したり、沈んだりすることができる。やはり、成し遂げるべき目標というものは必然なのだ。芸術のよさは勉強ではなく一途な思いであったりする。頭で考えることでの限界に太刀打ちできるのは、それを裏切ることができるのは、どうしても引けない思いであったりする。これだけは伝えなくては気がすまないという思い。

   チェ・ミンス        チョン・ウソン

そんな折、韓国のストレートな男の魂を感じる映画を見た。1999年、幽霊(ユリョン)。傲慢なアメリカや日本に打ち勝つと豪語する、ひとりの男。いつまでも屈辱の歴史を追わされないためにも強くあらねばという彼・・・。チェ・ミンスの色香が漂う。チェ・ミンス演じる艦長の引けない思いは超リアルである。それも個人の小ささではない。国を背負い歴史を背負い破滅していく男。

小さい頃、口答えは悪いことのように封じられていましたが、今は正当に意見を述べたい。でもそのおかげで年度終わりの3月は疲れ切りました。だけど私が吐露したことによって支持してくれる仲間もできてくる。桜が咲いて散りはじめ、やっと元気がでてきました。今年はこれからです!

2012年4月9日月曜日

ZORA「蜘蛛女のキス」(ヨシムラ)

長い冬の終わりに、爆弾低気圧の嵐が列島を駆け抜け、去った。
翌朝、じっと耐えていたつぼみが開き、それからは一気に爛漫のである。見事な!

春。ZORAも始動! 本当に久しぶりの公演案内です。

ZORA公演『蜘蛛女のキス』
2012年8月31日(金)〜9月2日(日)
新宿サニーサイドシアターの「二人芝居・演劇祭」に参加!
公演の詳細は、当ページで追ってお知らせします。

「蜘蛛女のキス」は、アルゼンチンの作家マヌエル・プイグの小説。後にプイグ自身の手で戯曲化された。ブエノスアイレスの刑務所が舞台、全編ほぼ男性二人の会話で綴られている。

 こちらは、1985年公開された、映画版。
モリーナを演じたウィリアム・ハートが強烈な印象を残した。

私たちはいい戯曲との出会いをいつも求めている。この作品は男性二人の物語ではあるが、シンプルな構成の中に、たくさんの味わい深いシーンと、魅力的な会話で満ちていて、「この戯曲をやりたい!」と二人同時に思い、ZORAの次回作は「これだ!」と決めた。この戯曲とどのように取っ組み合い、作品にしていくのか。山頂は見えないが、迷いながら登ってゆきたい。ZORA独自の方法とアイデアで。

速報!!
刑務所の所長役(声の出演)、宮島 健さんに決まりました!

2012年4月1日日曜日

キャット・ピープル(サカモト)




ZORA夏の二人芝居は、アルゼンチン、ブエノスアイレス出身作家、マヌエル・プイグです。ずっとフランスの作家のものが多かったのですが、今年はラテン系です。アジアのラテン国韓国の映画を見続け、私の気持ちも三拍子のリズムに犯され、以前訪れたドラキュラの故郷ルーマニアを思い出してみたり、ラテンパワーの源、飲むサラダ、マテ茶 を飲んでみたり。

そして先日、戯曲中で物語られる映画「キャット・ピープル を二人で鑑賞しました。(セックスした男を食い殺してヒョウに変身する猫女の衝撃オカルト・ホラーのカルト名作!)戯曲で語られるだけでも絵柄が浮かんでくるようで面白い題材でしたが、実際に鑑賞するとホラーというより、ほのぼのと普通の物語として愛に悩む主人公も可愛く、フッアションもお洒落で品があります。1942年の作品と知りその時代を想像することも楽しかったです。


また6月の芝居の資料を探しているうち、魅力ある本にも出会いました。魔女・産婆・看護婦ー女性医療者の歴史 こちらにも魔女が登場してきます。魔女狩りの由来、魔女狩りと称して何が行われていたのか。女性の歴史、女性が何に悩み弾圧され苦しみ生きてきたのか、今を生き、女を表現していこうとする私にも活力を与えてくれる本です。活力は不幸から目覚めるとも聞きますが、不幸だけでない、もっと生の希望からのものもあります。両者を兼ね備え、女としてのDNAを模索し、今年はどんな女を表現できるのかこれから楽しみであります。

2012年3月25日日曜日

つぼみ(ヨシムラ)

ほぼ毎朝6時に家を出る。少し前は真っ暗だったが、だんだん明るくなり寒さも緩んできた。とはいえ3月も末というのに桜が咲く気配もない。寒い冬だった。


我が家の前には首都高速が走っており、高架下は野宿者たちの溜り場になっている。このあたりは、東京スカイツリーの開業を控え、野宿者のテント排除の圧力が強まっているという。野宿者たちは団結して闘う姿勢を見せており、先日はついに「春のビンボー祭り」いうイベントまで開いていた。玄関を開けるとブルーシートがまた増えている。私は考える。そびえるスカイツリーを眺めいつか登ってみたいと思う。そして野宿者たちとどこかでつながっていることも感じる。うまく言えないけど。

今年は6月と8月に公演の予定があり、それぞれの稽古を徐々に始めている。芝居の稽古というものは様々なやり方があると思う。少し前は公演の2ヶ月位前から集中的にやることが多かったが、なかなか仕事も休めない現状の今は、数ヶ月前から少しずつ準備をするやり方に変わってきた。6月のかもねぎショット公演「8人の女(仮)」は気心の知れたメンバーにより、各々の人物像、ストーリー、アイデア等を、話合いや試演を繰り返しながら作品を作る試みをしている。

そして8月のZORA。二人芝居。素晴らしい戯曲と出会い上演権も得た。こちらは本を抱えてふたりで富士山を登るような作業。ゆっくりでも登り続ければ山頂も見えてくるだろうか。稽古のやり方も変わったが、いちから丁寧につくることの大切さを感じる。年齢とか状況は逃れられないものだが、歳をとることも生活していくことも、おもしろいと思える。ときどき疲れてだめにもなるけど。でも、まあ、おもしろい。じっくり作品に取り組むこと、妥協しないこと、なあなあにならないこと。生来なまけものであるが故、律していかなければならないと思い稽古場へ向かう日々である。

2012年3月19日月曜日

ケンチャナよ~(サカモト)


「我が心のオルガン」監督 : イ・ヨンジェ  封切り : 1999. 03. 27 


韓国映画をBGMにコーヒーを飲みワインを飲む。画面を見ていなくてもアイゴー、アニハセヨーという響きが心地よい。2000年前後の頃のほのぼのとした韓国映画が最近私の癒しとなっています。目には目を歯には歯をという時間の呪縛から逃れ一人の心地よさを感じる時間。20年間以上も満員電車に揺られていたのに今はほとんどガラガラの電車しか乗らなくなり、たまに誰かが隣に座っても圧迫感を感じ席を移動したくなります。そのくせ妙にさびしさを感じたり。長くひとりで暮らしているせいなのか、ついにひとり病がはじまりつつあるのかもしれません。先週はみっつの作品を観ました。


① ≪朗読とピアノ≫メロドラマ:イノック・アーデン 詩:アルフレッド・テニスン 作曲 :リヒャルト・シュトラウス ダニーボーイのピアノソロ、藤田さんの朗読、お二人の清潔感と暖かさが伝わってくるいい空間でした。何より泣ける物語。 


②Pina 3D/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのちヴィム・ベンダース 春の祭典、カフェ・ミラーの舞台では力強さがダイレクトに伝わってきましたが、映画は何より美しく映像美の賜物でしょうか。はじめての3Dが体験でき、文字が浮かびあがっているのは新鮮でした。 




③ サド侯爵夫人 野村万斎演出 3時間40分。20歳の頃の劇団の大先輩白石加代子さんが現役で爆発的なエネルギーを彷彿させていることに脱帽です。



みっつとも私の感性にビビッドに伝わる作品が見れて、久しぶりに出かけてよかったと思える週でした。


ケンチャナ(韓国語で大丈夫)よ~。日本語で言われるより、異国語のこの響きになぜか癒されます。もしかしたら日本人が忘れてしまった情の深さが韓国にはまだ残っていて、日本語で大丈夫よと言われる声の浅さに心が動かなくなってしまった分、このケンチャナに反応してしまうのかもしれません。映画でも舞台でも、いい作品いい俳優をみるたび、心の鐘が鳴り響きます。