母と娘という役どころで、私は母を演じ今回も同じ役を演じるのですが、以前とは違った感情がたくさん溢れています。母と娘。母になることがまだ、そしてこれからも多分なく、いつまでも娘の立場で生きているのですが、頼ったり反抗したり疎ましく思ったり、でもとてもかなわなくて正しくて立派で泣いたところなど一度も見たことがなかった母を、思い出したり励まされたりしながら、やっているのかもしれません。
生まれてすぐ父は戦死、聴覚障害のあった母親に育てられたカミュも、『異邦人』や『誤解』の中で、特別な思いを持って、母親を描いているのではないかと思います。カミュの文章は、黙読し、そして声に出して読むときに、心にいきわたってゆきます。
9月になり、まだまだ暑い日も続いていますが、公演の頃は少し涼しくなっているでしょう。『誤解バラック』、ただいま稽古真っ最中です。皆で良い作品にしようと奮闘しております。ぜひ劇場に足をお運びください。
2013年9月26日-28日
新宿サニーサイドシアター