やりきれない事件を流し続けるテレビを消すと、遠くからヒグラシの声が聞こえてくる。
友より立派な葡萄をいただく。吸い込まれるような深い色。秋の色。朝晩涼しい風も吹いて、夏の終わりは、ほっとして少し寂しい。
先週、吉沢恵さんが企画した『怪物/ジョンとジョー』を観に行った。
ZORAにとっては馴染み深い、アゴタ・クリストフの戯曲。「怪物」は、歌ありダンスあり、新聞紙が楽器や武器や帽子に変わるアイデアなど、生田みゆきさんという若い女性演出家の感性がきらきらとあふれていた。「ジョンとジョー」は台詞の第一声を聞いただけで、さまざまな思いがこみあげてくるほど愛着のある作品だが、今回のジョンとジョーも良かった。居心地のいいカフェと友、コーヒーとプラム酒。人生に必要なものはそれだけでじゅうぶん、と思える。この作品、愛おしい。もう一度やってみたいと思った。
今年は3月の舞台だけで予定は未定状態でしたが、来年1月に「かもねぎショット」公演に出ることが決まりました。タイトルは「ペルセポリス」。作品の内容はまだまだわかりませんが、関連図書、DVDで予習を。
イラン人の少女マルジの自伝的コミック。イスラム革命やイランイラク戦争を体験し、少女の好奇心と市民としての評価を率直に描いていておもしろい。抑圧の象徴であるベールの下では、ロックを愛し自由と知識を必死で求めている。あまりにも謎の多い国だが、生きているのは同じ人間、同じ女性、と改めて思った。しかしこれ、どんな芝居になるんだろう。
こちらは、原作者のマルジャン・サトラピ自身が監督したアニメーション作品。大きなうねりの中で翻弄される人間のイメージが、コミカルだったり空恐ろしかったりします。「いつも毅然と、公明正大でありなさい」という、おばあちゃんの声は響きました。
そしてさらに2016年は、ZORA公演やります!
今は戯曲を探したり、20年ぶりの水泳で体力増進をはかったり、心身ともに充電中です。