初夏の日射しがまぶしく、しかしすっかり出不精となり、たまに訪ねてくれる友人のみと交流し、夜は早寝の日々。サカモトとも一ヶ月前に会ったきり。サカモトと呼び捨てにするのは劇団時代の名残で、いつか呼び方を変えようと思いつつもずっとそのまま。今度会うとき変えてみようかな。一ヶ月前、錦糸町の韓国料理屋で、サカモト、ミヤジマ両氏から勧められた映画を思い出し観てみることにした。
にっぽん昆虫記
これは劇団の先輩、宮島健さんから、30年前に勧められたものの今に至ってしまった映画。ついに観ました。今村昌平監督、左幸子主演、50年前の作品です。東北の寒村で産まれた少女が売春宿の女将になるまでの半生が、泥臭いまでに逞しく描かれています。役者の顔つきが凄い。人間の本能、叫びがむき出しになりつつも、滑稽で愛しい。弱っている身にはパンチが効き過ぎましたが、目覚めたような気分になりました。
チャイナ・シンドローム
こちらは、1979年の公開当時も話題になりましたが、見逃していた作品。原発事故を扱った映画で、明日にも起こりうる悪夢を描いていますが、実際この映画のすぐ後で、スリーマイル島の事故があり、チェルノブイリ、そして福島、と悪夢は続いてしまいます。人間の偉大な発明と恩恵、そして驕り、天災と人災、疑わないことの恐ろしさ、今だからこそより深く感じる映画でした。名優ジャック・レモンの、苦悩と正義が心に残ります。