昨年の10月から今日まで、その間に起こった出来事と思ったこと。
この2月、オリンピックが始まった日、入院した。初めての経験である。手術を終えた翌朝、一面の雪景色のあまりの眩しさに、もう今までの人生は終わり、新しい朝、新しい世界が始まったのだと思った。冷たく美しいこの雪のような世界。
ZORAの始まり、それは今世紀の始まりでもある訳だが、私にとって波乱の始まりでもあった。ずっと続いていくはずの家族や、仕事や、劇団が次々と離れていった。むこうから、あるいは自ら。このブログ紹介にも「現代を生きる女の希望、絶望、渇望、様々な葛藤を自分達の視点で切り取り、表現してゆきたい、との思いからスタートした」とあるが、40代にさしかかろうとしていた頃で、エネルギーとままならぬことの折り合いがつかぬまま、ともかく作品を産み出すことでしか進めないような切羽詰まった感じがあった。子供を産まないことの代償のような思いもあったかもしれない。
その後は、不景気の波に飲まれたり必死で生活を支えながら続けていくうち、絶望や渇望も薄れ、自分たちの思いより、優れた作品を見つけ具現する方へ向かっていった。ZORA公演も第10回を数え、わたしは50歳になり、昨年の公演をやり終えたとき、病気が見つかった。病気によって、日々の積み重ねや、予定や、展望が、いったん白紙になった。丈夫な体さえあれば、という確信も崩れた。まさに晴天の霹靂であったが、生きていればいろいろあるうちのひとつでしょうと思えるに至った。
先のことがわからないというのは、不安でもあるけれど、自由でもある。いい機会なので、休息と充電の年にしようと思っている。幸せなことに友だちがいて、助けてくれる。惜しみなく。本当に感謝している。
足裏マッサージをしてくれた小野寺さんと栗栖さん。王様気分。
漠然とした報告になってしまいましたが、無事退院し快復に向かっています。様子をみて活動も始めます。入院中は、身体の不思議を日々感じ、同部屋の方々との楽しい交流や、主治医の先生や看護師さんとの話からたくさんのものを得ました。いつかなにかのかたちで表せる日が来るかもせれません。
写真は、病院の窓から見た景色です。東京の海、夜明けの空、発見です。