頭上を鳥たちが行き来する。私は5階に住み最上階であるので、鳥たちが木々から電線から5階の屋根に着地するがため飛んでくるのである。普段なら窓から平行に見るだけの鳥たちを、一日、二日、三日と寝たきりの布団の中で上向きに鳥たちを見る。視点を変えれば見方が変わる。鳥たちが描くウェーブは、見事というほかない。
風邪をひきとても辛かった。朝目覚めると咽喉が焼けるように痛み、つばを飲み込むこともできない。熱が上昇する。三日目の朝ようやく熱が引き、そうしたら今度は鼻水と痰と咳のオンパレード。まるでデドックスしているように、からだの汚い水が放出されていく。
あたたかくなってきたというのに。
どこにも行けないのでからだを休めながら、テレビもつまんないし、埃のかぶったビデオラックから昔みた映画、1984年製作、太陽の年 を見た。若いとき見て心惹かれたそれは、今も連綿と私の胸の中に息づいていていた。
布団という小空間の中でぐずぐずしていたら、ごちゃごちゃになっていた6月公演の役のイメージが少しづつですけど、輪郭がみえてきたかんじがしました。そして今年の予定もだんだん具体的な話に。暗闇の中に光が差してきたよう。本当に風邪なんてひいてられない。咽喉が台詞を求めている。ああ、いい骨休めをいただきました。