ABOUT US

1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2020年4月26日日曜日

口の中の黒い葉






韓国の詩人「キ・ヒョンド」は、既に他界。2016年に朗読した「401号ユンジョンのこと」に、この作家が登場する。私は気にかかって検索しこの詩を見つ\けた。そして今も、この「口の中の黒い葉」を検索している方が私のブログでは断トツである。不思議な、シュールと言われればそれまでだが、感覚が触れてくる。これは私だけでなく、事実なのだ。自分が朗読するなら、まずはこの詩と思っていた。


「口の中の黒い葉」

タクシーの運転手は暗い窓の外に首を突き出し
時折り大声で怒鳴る、その度に鳥たちが飛び立つ
ここは初めて通り過ぎる平原と黄昏、
わたしは一度も会ったことのない彼を思う
それが起ったときわたしは遠い地方にいた
埃の部屋で本を読んでいた
ドアを開ければ平原には霧が立ち込めていた
その年の夏 地面は本と黒い葉々をずるずる引きずって歩いた
たたまれた衣服を広げる度に白い煙が飛び出てきた
沈黙は使用人に似合うと彼は書いた
わたしは彼の顔を一度見たことがある
新聞でだったのだが首を少しうつむけていた
そしてそれが起った、しばらくして彼が死んだ
彼の葬式は激しい風雨によって一面につやつやしていた
死んだ彼を載せた車は堪えられずにのろのろと進んだ
人々は葬式の行列にしゃにむに取りすがり
白色の車両いっぱいに黒い葉がはためいた
わたしの舌はゆっくりと硬くなっていった、彼の幼い息子は
葉々の包囲に耐え続けたあげくにわっと泣き出した
その年の夏 多くの人々がわんさといなくなり
驚いた者の沈黙の前にばらばらと現れた
亡者の舌が街角にあふれ出た
タクシーの運転手はときどき後ろを振り返る
わたしはあの運転手を信じることができない、恐怖で真っ青になり
わたしは言い淀む、彼は死んだ人間だ
彼のためにどれほど多くの葬式が息を殺さねばならなかったか
そうだとしたら彼は誰なのか、わたしが行くところはどこなのか
わたしはこれ以上答えないわけにはいかない、どこで
それが起こるのか誰も知らない、どこだろうと
近くの地方にわたしは行かなければならないのだ
ここは初めて通り過ぎる平原と黄昏、
わたしの口の中に執拗にへばりつく黒い葉がわたしは恐ろしい







自然な草木のように、色は自然に表れる。人の顔にもその人の心が如実にでている。それに気づかないのは人間ばかりか。だからなのかな、自然の中に身を置きたいと思うのは。

この時間は、自転車を漕ぎ、料理を作り、掃除をする。たまにスカイプ。以外にいいのかもしれないとも思う。「山には来ないで下さい」とのコメントはもうさみしいかぎりだった。そんな4月ももう終わろうとしています。