きっぱりと夏がやってきた。
早朝から照りつける日射しが体内にも侵入してくる。しかしまだ6月が始まったばかりなのだ。昨年も一昨年も夏の間は芝居に明け暮れていた。立ち上げから準備、稽古、公演。目まぐるしい日々と暑さ。遠い日の出来事のようにも思う。今年はどんな夏になるのか。
上野の森を抜けて、バルテュス展へ。
観客として劇場に入るのには覚悟がいる。時間と空間を拘束されるからだ。奇跡的な瞬間に出会えることもあるが、このごろは拘束が負担になることもあって、ふらりと訪れることのできる空間に安らぎと魅力を感じてしまう。特に平日午前中の美術館は、ひろびろと心地よい。絵画とゆっくり対面できる。
バルテュスは「婦人のそれよりも、少女の美しさにより一層の興味や完璧さを覚えてしまったのです。少女たちは、最も完成された美を象徴しています」と言うように官能的な少女の絵が多くスキャンダラスな捉えられ方もされているが、実際の絵を見ると、まず色彩と光の美しさに目を奪われ、その瞬間にしか現れない少女のフォルムと表情を、切り取り永遠に描きつけたような筆致に圧倒される。美とは瞬時のものだ。欧州の空気、夕暮れの光、ワインの味なども懐かしくなるような絵画との時間。
そしてこの画家の魅力は、女性に愛され、女性を愛し年を重ねて刻まれた、この顔。色気と純真。ピカソやジャコメッティ、カミュ、フェリーニなどとも交流があり、晩年はスイスの山荘で節子夫人とともに和服で過ごしていたそうです。スイスのアトリエを再現した展示も圧巻でした。美術館を出て、国際こども図書館へ。明治時代の建造物なのだとか。ここも誰もいなくて空間を独り占め。
火曜日。下北沢ザ・スズナリ前にて、スリーショット!
おふたりはこの後、大谷亮介ひとり祭り『男の人生六十年』を観に劇場へ。