図書館内のギャラリィの横にさしてあったチラシにふと目がいき、一枚手に取った。それは「音楽」という絵で、その女の魚のような動かない死んだような目と、パステルな美しい色合いに惹きつけられた。
子供の頃、しらすを食べるのが怖くて怖くてしょうがなかった。あんな目玉だらけのものを食べる・・・刺身は30際半ばまでだめだった。生きたものを切り刻んで食べるなど、到底理解できない。おいしいよと薦められても、私にとっては意味の違う話なのだ。・・・しかし食べられるようになった。
日本人には人気のある画家だそうだが、私は全然知らなかった。なんとなく夢み心地のような、ちょっと淋しげで、ふわっとした感覚。このふわっとした感覚に潜む何かを想像する楽しみ。若かった頃より、今、絵画っていいなと思う。
マリー・ローランサンという女性画家、詩人アポリネールとの出会い。この一人の女の生涯をたどると、興味がわく。彼女は私生児であった。ジャン・ジュネもそうだがパリの芸術家達は、どんな地下室から作品を生み出していくのか、又生み出さずにはいられないのか。そんなことも思いながら、これから2ヶ月に渡り展覧会があるのでふらっと見にいこうかなと思っている。
鎮 静 剤
マリー・ローランサン
堀口大學 訳
退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。
悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。
不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。
病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。
捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。
よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。
追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。
死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。
LE CALMANT Marie Laurencin
Plus qu'ennuyée Triste.
Plus que triste Malheureuse.
Plus que malheureuse Souffrante.
Plus que souffrante Abandonnée.
Plus qu'abandonnée Seule au monde.
Plus que seule au monde Exilée.
Plus qu'exilée Morte.