春を待つ気持ちと、近づく公演への焦りも感じつつ、一歩ずつ稽古を進めています。同時にイメージを膨らませるため映画を見たり、衣装の買い出しに出かけたり。今回の短編集のひとつ「3月のモスラ」は、「八月の鯨」へのオマージュでもあるのですが、今まさに岩波ホールで「八月の鯨」が上映されていると知り見に行ってきました。懐かしいホールのロビーで支配人の高野悦子さんがこの2月に亡くなられていたことを知りました。ルキノ・ヴィスコンティやエミール・クストリッツァ監督を知ったのもこのホールでした。高野さんは各国のたくさんの名画を紹介し、岩波ホール創立日である2月9日に亡くなられたそうです。「八月の鯨」は、頑固でわがままな盲目の姉(ベティ・デイヴィス)と優しい妹(リリアン・ギッシュ)、老姉妹の1日半を描いた映画で、失う寂しさ残酷さも描きながら最後にしっかりと希望を残してくれます。
また過日は、半世紀以上も現役で活躍されている大先輩女優の方とお会いする機会があり、このようなことを仰っておられました。「役者は表現のための表現をするのではなく、作品をいかに有効に、魅力的にするかということを考え、本をとことん読み込み、その人物が一番魅力的に見える解釈、方法を探っていけば、表現は自ずと生まれます」
今回の公演のように作者が身近におられる場合、つい作品や台詞について思ったことや意見を言ってしまうのですが、またそのような環境も悪くはないのですが、作家が心血を注いで生みだした言葉をまずは読み込み、そこから作品や人物が生きる解釈を見つけてゆくのが役者の楽しみではないか、などと思いました。
高野悦子さん、八月の鯨の姉妹、お会いした女優さんは、70代から90代の方々。本当にすてきな女性たち。姿勢正しく真っ当で美しく歳を重ねてゆきたいと切に思った次第です。
こちらもがんばります!
ご予約こちらまで。
3月15日(金)19:00
3月16日(土)14:00/19:003月17日(日)14:00
3月18日(月)14:00
会場:六本木ストライプ・スペース
地下鉄六本木駅芋洗坂徒歩5分
出演: 村松恭子 吉村恵美子
脚本: 高見亮子
演出: 勝田安彦
2,500円 ワンドリンク付 自由席(開場は開演の40分前)