ふと立ち寄った近所の本屋で、演劇雑誌「悲劇喜劇」2011年の公演収穫の欄に、舞台写真家宮内勝さんが「女中たち」の韓日バージョンを挙げてくれていたのを目にしました。公演は賛否両論でしたがこうして観た方に心に留めていただけたことは素直にうれしいです。
そして夜、杉村春子さんの「女の一生」のDVDを見ました。実は私はこの有名な作品を一度も見てなかったのですが、面白くてビックリしてしまいした。私が見たのは1961年1月の上演ですが、何も古臭さを感じません。政治状況を述べるシーンも、日本の未来を案じるようである恐ささえ感じます。杉村さんの台詞の明晰さ、可愛さ、スピード感。そして出演されている全ての人が、皆、魅力的です。ちょうど節分の豆まきのシーンも登場し、この3月という微妙な季節感がしみじみ伝わってきました。
昨年の3月11日午後2時過ぎ、私は寝ていました。揺れの激しさを感じながらも、前日徹夜同然だったので眠くてしょうがなく、テレビもつけず再び寝てしまったのです。夕方になって事の次第を知っても信じられずにいました。そしてすぐに、又、韓国へ旅立ってしまいました。ある有名な映画監督が次回の映画を撮る際に、日本に生きているならこの事を避けずには通れないと雑誌にコメントするのを拝見し、あの時より今、私の心が痛みだしました。 私も表現ということに携わる一人ですし。
草木が芽吹く月、弥生。どうぞ、新しい命が実っていきますように。一年が経とうとしている今、このような言葉でしか述べられませんが、災害に見舞われた皆様に、お祈りいたします。