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1982早稲田小劇場入団
1988劇団第三エロチカ入団
2001ZORAを劇団第三エロチカ吉村、坂本で活動。
2015吉村他界。
2019ZORAを閉じる。
2021「プロジェクト榮」を、演出:俳優/篠本賢一、
舞踊家:俳優/花柳妙千鶴と活動開始。
2023「よなよな」久保庭尚子と立ち上げ。

2014年1月19日日曜日

俳優であることを証明する為に(サカモト)


1月も半月過ぎ、まだ年末からずっと掃除。何年も大晦日という感覚もなく走ってきました。生活の微妙なメンテナンスを疎かにし、住まいの物たちは、皆、音を上げていました。レンジフアンの油取り、既にプロでなくては手が届かない。これまでの人生を整理整頓する事によって忘れていた嫌なことも思いだし、イケイケドンドンで進んできた弊害も舌を出し、猛烈に私に意見してきます。

木下順二さんの著書「劇的とは」の中に、‘未清算の過去‘ということが語られています。私の部屋には未清算の物たちが。なんだかリンクしたようでドキッと・・・。「夕鶴」「子午線の祀り」。「巨匠」に出演した大滝秀治さんの舞台は忘れられません

老人は、何ゆえに命を賭けてまで「俳優」であることを証明しようとしたのか?〈芸術家の運命〉について精魂を傾けた珠玉の作品。1991年に滝沢修の巨匠(老人)役で初演。

《ナチスドイツ占領下のポーランドが舞台。ワルシャワ蜂起が制圧され、小学校の教室に5人の男女がひそんでいた。そこへゲシュタポが現れ、ゆうべの鉄道爆破への報復に4人の知識人を銃殺するという。旅役者だという老優は、簿記係の身分証明書をもっていたため除外される。しかし老人は、自分が俳優であることを証明するためにマクベスのモノローグを朗誦するのだった……》 と、こんな芝居。

 
老人は俳優として「死」の選択をするのだ。みすぼらしい老人がゲシュタポの前で演じた「マクベスのモノローグ」が、一世一代の名演技となったのだ。木下順二さんは、ポーランドのドキメンタリ―番組での目撃者の証言で、この芝居を書いている。ドイツ兵の前で素晴らしい芝居を演じた老俳優がいたというのだ。

ポーランドのシナリオライター、ジスワフ・スコヴロンスキ作のテレビドラマ『巨匠』を、故・木下順二が翻案したもの。スコヴロンスキという人は、1960年代ポーランド映画好きにはそれなりにおなじみの脚本家で(正しい表記は、スコヴロニスキのはず)、ヤン・リブコフスキやスタニスワフ・モジジェニスキ、イェジー・ザルズィツキといった監督と組んでいる。

大滝さんは「これこそ最後の芝居」と死を覚悟しつつ挑んだ。私には大滝さんが語ったその言葉が、今、生まれてきたように生きていて、すっかり魅了されてしまいました。きっとマスコミでも大変活躍していた大滝さんではあったけれども、この役に、この戯曲に真髄していたのだとも思う。

なかなか清算できないものもありますが、年が明けて新しい一歩を踏み出すべき、ここらで清算すべき、部屋を整理しましょう。片づけられない女になる前に。

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